智道写真館

「お釜」の悲話
208/07/15
 雲海の朝、眠りから覚めた峰々に朝日が強烈な光を放った。「お釜」は蔵王連峰のシンボルである。
 370年前この山は大噴火を起こし、郷土に甚大な被害を及ぼした。この噴火を「命願」をかけて鎮静させた村田城主伊達宗高公は、3年後20歳の若さで永眠された。
 宗高公は死の間際、多くの家臣に見守られた中で最後の言葉を残した。「吾が命は、蔵王噴火の時、天に預けた故、死は天命である。短い生命は尽きるとも、領民を救い得たことを喜びとする。」と。
 名君宗高公の「命願の碑」が建つ刈田岳の山頂に立って眼下を眺めると、深く沈んだお釜の色がジーンと胸に迫ってきた。

三階瀑布(中段)
2008/07/15
 静かな朝、陽光が三階滝の中段を照らし出す。緑深き断崖を三段に流れ落ちる名瀑は、長い年月人々の心に清爽な心を呼び起こしてくれたに違いない。ダイナミックに落下する滝の飛沫が緑葉を一層輝かせている。
 瀑布の砕け散る音に競合するかのように蝉たちは、今を盛りと鳴き叫ぶ。谷間に大きなハーモニーとなって木霊する。幼虫として土の中に3〜4年、ようやく地上に出たと思いきや、余命はわずか1〜2週間。命の限り鳴いている蝉を「やかましい」等と思ったら罰があたる。自分が蝉なら、どう生きようか。
「滝の音に 負けじと響け 蝉の声」

水芭蕉の群生
2008/04/07
 桜が咲き始める頃、蔵王山麓にある水芭蕉の森では、ようやく水芭蕉が花のシーズンを迎える。
 長い冬の眠りから目覚めたばかりの水芭蕉が天にかざして凛然と輝いている。

清流に咲く
2008/04/07
 雪解け水が湿原を潤し、群生する水芭蕉に生気を与える。花びらに見える白い部分は、実は葉が変形してできたもので、仏焔苞(ぶつえんほう)と呼ばれている。白いベールで黄色の花心を優しく包んでいる。

水の妖精
2008/04/07
 朝の陽光がようやく届いた。ここは森の奥、流れの源流に近い。
 人知れず咲く姿は、清楚この上ない。美しいものとの出会いは感動が先立ち、容易にシャッターが切れないものだ。